朝の6時。日差しは昼ほど強くなく、風も優しい。鳥たちのさえずりが眠ていた意識をゆっくりと起こしてくれる。
一目惚れしたスポーツサングラスとランニングシューズを身につけ走るこの時間は1人の男にとって至福の時だった。
ふとベンチの陰になにかが見えた。スピードを落とし、見てみると一人の男性が倒れていた。
酔っ払っているのかもしれない。
「大丈夫ですか?」
声をかけても返事がない。ふと顔を触るとまるで凍っているかのように冷たく、みれば背中には刃物が付け根まで刺さっていた。
「うわあっ!」
それを見た瞬間男は情けない声を上げて腰を抜かした。
ーー死体だった。